2017年04月19日

「社会人大学人見知り学部卒業見込み」を読んで

オードリーの若林さんのエッセイ。







若林さんは好きな芸人のひとりだ。


なぜ好きなのかというと

独特のセンスがあるから。









そして彼は読書家でもある。






そんな彼のエッセイなのでワクワクしながら読んだ。
















最初は

普段若林さんが「アメトーク」などのトーク番組で話しているような

人見知りというか

気にし過ぎというか


そういった彼の考え方、それによる行動などが記されていて





わりと性格的に若林さんよりの私でさえ


最初は「うんうん、そうなんだよっ、よくわかるよっ」と思っていても


途中で「う〜ん…。若林さん、やっぱ考えすぎ。やりすぎ。気持ちはすんごくわかるけどっ!!」となっていくほど


彼の闇は深い。














そして
T君が出て来たあたりからこのエッセイは次章に入る。





読んでいて

だんだん元気をもらえるのだ。










仕事もなくお金もなく努力も認められず、今では若林さんにとって思い出したくもない、売れなかった20代。
そんな状況下でも仕事に対してまったくやる気を見せない相方の春日さんに、若林さんはいう。

「同級生はみんな結婚してマンションに住んでいるっていうのに恥ずかしくないのかっ?」



至極まっとうな考えである。




しかし、それに対し、春日さんは三日間考え、こう答えた。

「(そんな状況でも)どうしても幸せなんですけど…」









春日さんはどんな状況にいようが幸せを感じられる人なのだ。

ゲームが出来、仲間と遊べればそれで幸せ。




常に今の自分よりいい環境にいかなければならないと考えていた若林さんの言葉など

まったく響かないわけだが



というか、

若林さんじゃなくてもそういうことを普通の人は考える。




いい大学、いい会社、いい人間関係。


今よりいい収入、幸せになるために。

きれいになって、痩せて、結婚して、子供を作って、資格もとって、健康にも気をつかって、家を買って、老後のために貯金もして…。


努力、努力、努力。



頑張れない人、結果の出せない人は不幸…。

あんな風になりたくない。後悔したくないのなら努力、努力、努力…。






そんな人生の繰り返し。







ところが
芸人として売れた今でも春日さんと若林さんの幸福感は変わらない。


春日はずっと楽しそうで。
若林はずっとつまらなそうで。


売れたのに。夢も叶ったのに…。





そこで若林さんは気づく。

本当の意味で自分に自信があり、余裕がある人の強さというものに。











他にも

こんな言葉がある。

若林さんは売れなかった頃の恩人にこんなことを言われる。

「本気で悔しかったりみじめだったりする話はおもしろい。」





みっともなくてみじめで恥ずかしいエピソードというものは誰にであると思う。

それこそ、今の自分の人間関係の人たちが聞いたら引いてしまうようなこと。


そんな、もうとっくに終わった、済んでしまった過去の出来事を話を思い出しては

落ち込んでしまう時、私はこれからこの言葉を思い出そうと思う。



そうだ、ネタにしてまえっ。と。

本気で、悔しいことみじめだったことはおもしろいのだ。


っていうか、ネタ、できた!!じゃんっ!! と。







若林さんも当時

後輩に追い抜かれたり

事務所にゴミのような扱いを受けたり

同級生にひどいうことを言われても

それらがすべてネタになり、笑いになると思えたら気持ちが楽になったという。




これはアメトークの「イケてない芸人」に通ずるものがある。

あれを最初に見た時本当に衝撃的だった。


イケてないことは恥ずかしいことだと思っていた。学生時代とか。

どんなに今の自分が頑張っていても、今の自分が輝いていたとしても

その黒歴史だけは一生消せないし、またそれがバレることは今の自分の評価が下がるような気がした。




でも、あの時あの番組で

世の中でいう成功者の人たちである人気芸人さんが「イケてなかったこと」を告白し、

しかもそれをおもしろおかしく、正直自分の黒歴史なんかよりずっと悲壮ともとれるエピソードを楽しそうに話してくれているのを見て、黒歴史なんて怖くないんだ、と思った。



いや、むしろ、

そういう経験がある人こそ、強いんじゃないか?


そういう経験があるこそ、この人たちは芸人として才能が開花したんじゃないか?





それに気づけた時、思った。

黒歴史人生バンザイ、じゃん。











また、若林さんはこんなことも書いている。




私達が世に存在する理由はふたつある。

ひとつは何かしているから存在していい。

働いているから勉強しているから子育てしているから若い時一生懸命頑張ったから、今存在していい。


そしてもうひとつの理由は、なんの理由もくなくこの世界に存在してもいいということ。


人は前者の存在していい理由がすべてだと勘違いしてしまうから、例えばリストラとかされたり自分を否定されたりするひと、自分が存在しちゃいけないような気がする。

そして自殺を選んだりしてしまう。



でも、私たちはなんの理由もなく存在していいんだよ。









…いい言葉だ。


世の中は成功者ばかりではない。


馴染めず努力が実らない時もある。


でも、存在はしてていいんだ。


自己否定なんてまったくの無意味なんだ。










それから

「いじられて愛される人が悲壮感が出ない理由は、根底で自分をこの肯定できているから」という言葉も好きだ。


いじられてムッとしたりする人は自信がないからなんだね。











あとはやっぱりT君。


T君との会話で


「能力よりコミュニケーションが優先されるんですか?」とT君が問う。


「そうだとしたらどう思う?」


T君は答える。




「クソだと思います…」






もう、最高。








こういう、何かを壊す言葉って、最近なかなか聞けない。



コミュニケーション能力? コミュニケーション障害? コミュニケーション教室?



ほんと、クソだよな。










もっと、楽になっていい。

楽に生きていい。




世の中の価値観がすべてじゃない。

押し付けられた価値観で生きるな。






この本は

それを教えてくれる。









むろん

ラインのグループを退会したくだりや

飲み会回避法言い訳の数々など


芸人若林さんの笑いのセンスも充分味わえ、そこらへんを読んでいる時は、思わず声を出して笑ってしまった。








この本を読みながら

私は

若林さんがなぜ芸人として魅力的で独特のセンスがあるのかが少しだけ分かったような気がした。


考えすぎで
人見知りで
イケてない時代があって

それらが彼の才能を培い開花させたように思うのだ。








確かに

美人で
お金持ちで
学歴もスンバらしくて
家柄もスンバらしい人はステキなのかもしれないけれど





でも

人の価値はそんなもんじゃない。




与えられたもの、最初から持っているものだけで魅力的な人もいるけれど


自分で模索し苦しみ考え、答えをだし、結果をだしている人の方が


おそらく人の人生を変えるような、心に響くような言葉を持っていたり、

強烈に人を惹きつける何かを持っていたりするんだ。




当たり前だ。



女王様の人生論よりメイドの人生論。(ロンバケより)










久しぶりにいい本で出会えた。


今日の青空がいつもよりずっと美しく感じるのは、間違いなく、この本のおかげだ。






posted by K子 at 10:06| 東京 🌁| 私の本の読み方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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